名古屋市昭和区御器所3
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地下鉄鶴舞線「荒畑」駅から、龍興寺のある区画を目指します。
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 龍興寺の前から南東角に向け歩いて行くと、高く積まれた石垣が伸びる。
民家が立ち並ぶ静かな環境、八大龍王社はそうした家並みの中に鎮座します。
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 石垣の上に僅かな境内を設け、南を向いて拝所があり、鳥居と拝所の覆屋の赤が閑静な街並みの中に浮き立っている。
龍と云えば水がつきものですが、このロケーションで龍とは田畑を潤す雨乞いのため?
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この辺りは緩やかな南垂れ、八大龍王社の南側は明治の頃には大きな池があったようで、天池と呼ばれていたようです。このあたりに天池と名の残る通りや施設はこの龍興寺ヶ池の名残り。

明治の頃の当地と現在を比較してみると、八大龍王社は龍興寺ヶ池の北の畔に位置し、池には古くから龍が住むと云われ、碑か祠の形態で祀られていたと思われます。
やがて周辺の宅地化が進むにつれ、龍の住む池は姿を消していきます。
1916年(大正5)年、龍の住処が無くなる事を危惧して建てられたのが八大龍王社。
池の主はあらたな住処を得て住みなれた池の変貌を見てきた訳です。
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 八大龍王社は石垣に付けられた石段を登り、参道は左の鳥居をくぐり、石垣と蝋燭台のある僅かな空間の拝所に続きます。
境内はとても狭く、拝所や本殿を写真一枚に納める事が出来ない程。
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通りから見た八大龍王社全景。
この一画だけは特別な空間です。
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 蝋燭台の左には「白龍請」と刻まれた手水鉢があり、蝋燭台の先の本殿は奥行きの無い斜面の上に台座が作られ祀られています。
なので拝所から本殿の全容を窺う事は出来ません。
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 「唵嘛呢叭咪吽」の石標
鳥居の右に建てられています。
六字大明陀羅尼という仏教の呪文(陀羅尼)の一つで、サンスクリットの6つの字音からなる観世音菩薩の呪文。
チベット語で六文字になる事から六字真言と呼ばれるようです。
六字真言はマニ車にも刻まれていて、大きさの違いこそあれ、これを一回しすると経を一回唱えた事になる。マニ車は各地で見かけますが、日進市赤池の​「龍淵寺」​を訪れると回す事ができます。
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 本殿は流造、平入りの様に見えます。
本殿は擁壁を背に祀られ、その擁壁の上には住居が迫っています。
かつての龍の住処は変貌し、新たな住処の高台から今もこの地を見守っています。
龍を訪ねると雨に見舞われるのは気のせいでしょうかね。
2019/12/17・・・・・雨 

「八大龍王社」
創建 / 1916年(大正5)
祭神 / 八大龍王(難陀・跋難陀・娑迦羅・和修吉・徳叉迦・阿那婆達多・摩那斯・優鉢羅)
住所 / 名古屋市昭和区御器所3丁目1 
アクセス / 地下鉄鶴舞線​「荒畑」駅から南へ徒歩2~3分程