愛知県新城市川合に位置する乳岩峡(ちいわきょう)を歩いてきました
乳岩峡は最近、豊川水系渇水で話題になった宇連ダムのある、宇連川水系の乳岩川に位置します
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一帯は天竜奥三河国定公園にも含まれ、険しい岩盤が露出した山々が多く、フリークライミングや明神山(標高1016m)登山で訪れる方が多いようです

登山口からは国の名勝及び天然記念物(乳岩および乳岩峡)に指定され、街の暑さや雑踏から離れ、静かで涼やかな時間を求めるには良い場所
今回、この登山道から乳岩を一巡し、洞窟内の子安観音を見て回ります
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5:45頃名古屋IC出発、新東名「新城IC」で下り登山口駐車場に7:50到着
駐車場には既に1台、入口近くのこんないい位置に停めれるとは想定外でした
右は最後のトイレ、この先にはありません
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靴を履き替え、ザックに水と上着と念のためポール準備してなど身支度を終え、8:00に入山
コースタイムはのんびり景色を眺めながら片道1:30の予定です
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ウグイスの鳴き声が響き渡る乳岩川沿いの岩盤(さじき岩)の上を上流に向け歩きます
水は澄み、周囲の緑が美しい、気持ちのいい空間が広がります
しばらくは沢沿いの北斜面を歩く事になります
個人的に会いたくない長い物もいるだろうし、足元の岩は苔生し滑りやすくなっています
気を抜くと転倒するのでトレッキングシューズがお奨めです

出来れば雨雲レーダーを見ておくといいかも
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歩道自体は強烈な急登はなく、標高を稼ぐのは整備された階段やはしごとなります
最初の鉄階段へは8:10分到着
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歩道の所々には豊鳳二十一弘法大師の赤い幟と、片隅に苔むした地蔵が佇んでいます
この辺りからは目指す乳岩の全貌が現れます
入仙橋全景
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乳岩川に架かる入仙橋から見た垂直に切り立った白い岸壁が乳岩山(標高670m)あそこを一周します
乳岩の白色は流紋岩質の凝灰岩で、昔はこの白い岩を煎じて飲むと乳の出が良くなると言われていたらしい、今は天然記念物なのでそれは出来ません
ここで8:15分
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8:18分
鉄階段脇の地蔵とその先の分岐表示まで到着
コースはここを左へ進みます、右は鬼岩方向へとつながります
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8:25分
休憩所到着、ここで水分補給と小休止
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休憩所から直ぐ先、見上げるには首が疲れる様な巨大な岸壁が現れる
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その先の案内板
ここから右手に進みます
左の鳳来瑚方面には進まないように気を付けましょう
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分岐から右手に進みます、間もなく眼前に二つの岩盤が聳えその間に隙間が見えてきます
乳岩巡りの第1チェックポイント「通天洞」です
隙間には写真の様に鉄の梯子や階段が上へと付けられています、ここを登ります
結構な斜度と落差があります、片手は手摺を持ち、足元を良く見ましょう

ここで踏み外すとアウトです

階段下から上を見上げると、上は僅かに見えています、慌てる事無くゆっくりと一段〃確実に歩みを進めて下さい
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梯子も整備されています、ところどころ朽ちかけていますので
災いを避けるため、そうした所は掴まない、踏まない事です
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梯子の終盤は穴潜りになっています、背中のザックの存在をここで知る事になるかも
ここを抜ければあと少しです、気を緩めずに進みましょう
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階段お疲れ様でした
雨雲もありません、通天門はすぐそこです
外光降り注ぐ新緑の山並みの眺望を楽しみながら一休みしましょう
因みに通天洞階段登り口からここまでの所要時間は10分程
現在8:40分、登山口から40分でした
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ここから数分歩くと鉄階段周辺の森の先に、巨大な石のゲート「通天門」が見えて来ます
乳岩巡りの第2チェックポイントです
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「通天門」
巨大な凝灰岩の岸壁にぽっかりと穴が開き、その先には明神山を望むことが出来ます
ここへは8:45到着です
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岩盤に新緑の緑が反射して淡い緑色に輝き幻想的な表情を見せています
摩訶不思議な光景に特別な存在を感じるのは頷けるような気がする、そんなスポットです
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さて「通天門」を後に今度は下りです
両手で手摺を持って確実に降りていきます、まるで人生そのものです
やがて右手の白い岸壁にポッカリと開いた穴が見えて来ます
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通天洞の二つある穴(鍾乳洞)の一つで、岸壁の下に自然にできた空間があります
穴の中には無数の観音地蔵が祀られ、その一つ〃を拝んで行く事ができます
豊鳳二十一弘法大師は豊橋市から鳳来町の沿線に札所が点在し
別格霊場と番外霊場を加え23札所で構成される弘法大師霊場で
こちらの鍾乳洞にはそれら札所の石仏が祀られています
ここで8:55でした
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歩道を少し下がったところから振り返って一枚
この岸壁に自然にこうした空間でききるものなのか、不思議な光景です
最終の目的地はここから2~3分下った右手になります
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右手に掛けられた鉄製の一直線の急な階段を登ります
その先は先程の空間より更に規模の大きい穴(鍾乳洞)が見えます
乳岩二つ目の鍾乳洞、最終チェックポイントへ
自然が作りだしたこの空間(鍾乳洞)は、乳岩と云われる乳の形をした鍾乳石があったそうで
流紋岩質の凝灰岩の石灰分が溶け出し天井部に乳房に似た鍾乳石が無数にあったそうです
石灰岩から生まれる鍾乳洞とは違う事から天然記念物に指定されているようです
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洞窟内の巨大な空間、天井は良く見る鍾乳石のイメージとはかけ離れ、所々に乳房状の突起を見る事が出来ます
それを見て、ここが鍾乳洞である実感はあまり感じられません

洞内の最上部には水平方向に手摺と道が出来ており、石仏が無数に祀られています
階段の正面に一際大きい子安観音がありますが欠損していました
左奥の離れた場所に不動明王、子安観音の右方向に千手観音等が横一列に並んで祀られています
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振り返れば乳岩入口から薄暗い洞内に差し込む陽光と下界の山々が望めます
洞の外は季節外れの夏日でありながら、ここはひんやりとした別世界です
しばらくここでコーヒーとおやつでしばしの休息
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30分程乳岩で涼んで9:30下界に戻る事にします
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登りでみかけた案内板へは5分程で到着です
そこから左手にどんどん下っていきます
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入仙橋へは9:45頃到着し乳岩川を眺めながら駐車場へ向かいます
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宇連ダム貯水率が0%になり湖底に沈んだ町で話題でしたが、後の雨でそれも見えなくなったようです
冷たくて澄んだ川の水はダムに流れていきます
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アマゴに出逢えるかと思い、しばし川原で散策してみました
きらきら光る水面の下に群れを作り泳ぐ魚の姿
残念ながらハヤでしたが、この水は彼らにとっても大切な水です
水源が枯渇しなければいいのですが
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乳岩川の平常時の水位は分かりませんが、歩いて来たさじき岩のポットホール(岩床を流れる水流により石が作る窪み)を見ると少ないのかな?
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川で散策して駐車場に戻ったのが10:15頃、のんびりふらふら歩いて2:15で戻ってこれました

駐車場や歩道で上の様な注意書きを何度も見かけました
・・・・・うかつに手も差し伸べられない、なんだかな荒んだ世の中になってしまったものだ
くれぐれも単独での入山はしない事が一番
それと、携帯で動画を撮りながら梯子を登る方も見受けられました
梯子から落ちたら無傷では済まないし、携帯はアンテナが立っていなかった(かみさんの英雄)様です

足をしっかり固め、水や急な雨に備えた雨具、軽食等最低限の備品を装備する事で心配はないと思います
一方で低山でのトラブルは結構多い物です
散歩気分で行けるところではない事を認識し、準備し、実行さえすれば、自然が作り出した不思議な世界やそこに祀られた石仏達に安全に逢いに行けます

2019/5/24
乳岩一巡 『通天洞、通天門、鍾乳洞、子安観音』
住所 / 新城市川合乳岩
アクセス / ​新東名「浜松いなさ北IC」から国道474号線経由乳岩駐車場まで車で20分​